この季節には欠かせない あじさいの豆知識

梅雨には、あじさいがよく似合います。
濡れた姿も美しく、梅雨ならではの風情を感じます。
今回はそんなあじさいの豆知識をご紹介します。

「紫陽花」と書いて「あじさい」と読む
なぜ、「紫陽花」と書いて「あじさい」と読むのでしょうか。それは、先に「あじさい」という呼び名があり、後から「紫陽花」という字をあてたからです。“あじさい”の語源には諸説ありますが、藍色が集まったものを意味する「集真藍(あづさあい/あづさい)」がなまったという説が最も有力とされています。あじさいは古くから親しまれていて、日本最古の和歌集『万葉集』では、「味狭藍」「安治佐為」、平安時代の辞典『和名類聚抄』では「阿豆佐為」と書かれています。

そんなあじさいの漢字を「紫陽花」としたのは、平安時代の学者・源順(みなもとの したごう)です。中国の白楽天の詩に出てくる「紫陽花」の特徴から、あじさいと同じものと考え、この漢字を当てはめました。しかし実際は誤りで、「紫陽花」と「あじさい」は異なる花だったと言われています。

あじさいの原産
あじさいの原産国は、日本や中国、台湾、北アメリカです。万葉集でもあじさいが書かれているほど、古くから日本人の身近な花でしたが、花色が移り変わる様子が悪いイメージを連想させ、最初は人気がありませんでした。しかし、西洋で親しまれるようになり、日本に逆輸入され始めた頃、人気が出始めました。フランスでは「日本のばら」と呼ばれ、桜や椿と並んで日本を代表する花として知られるようになりました。

日本原産の「額あじさい」は、額縁のように周囲にだけ花を咲かせます。一方よく見かける手まり状に咲いているものは「西洋あじさい」で、「ハイドランジア」と呼ばれています。これは「水の器」を意味し、水を好み、乾燥するとすぐに元気がなくなってしまうあじさいの性質が由来となっています。

色の変化とおまじない
あじさいにはさまざまな色がありますが、これは土壌のph(ペーハー)が大きく関係しています。酸性だと青系、アルカリ性だと赤系に変わります。しかし品種改良され、色が変わらないものも多くあります。

酸性の土にはアルミニウムが含まれており、このアルミニウムがあじさいの中のアントシアニンという物質とくっつくことで、花の色が青へと変化します。日本は火山地帯で雨も多く、弱酸性の土壌が多いため、青系や紫系が主流です。また根が吸い上げるアルミニウムの量には個体差があるため、同じ場所でも色の濃さが違うことがあります。そのため、色のコントラストが楽しめる、美しい風景が作られます。

6月の6のつく日に、あじさいを逆さまに吊るしておくと厄除けになると言われています。玄関に吊るせばお金が貯まる、トイレに吊るすと病気にかからないなど、いろいろな説があります。理由としては、昔から商売繁盛を願って蜂の巣を吊るす風習があり、あじさいは蜂の巣に似ていること、寝(根)付かず健康に通じることなどが挙げられています。

多種多様な品種があるあじさい。梅雨ならではの風情を愉しみたいですね。